機関誌『専門店』ハイライト
ホーム>機関誌『専門店』ハイライト
儲かる勝ち組ネットショップ (上)
第四三回日専連全国青年会会議 特別講演
ネットショップ最前線
「儲かる勝ち組ネットショップ」(上)
元・日専連鹿児島会青年会 ニューバッグ ワカマツ代表取締役
(http://www.newbag.co.jp)
若松 孝一郎
昨年10月21日に北九州で行われた「第43回日専連全国青年会会議」で、平成一九年五月に日専連から残念ながら脱退・解散した元鹿児島会から若松孝一郎氏が招かれ、自店(バッグ専門店)で行っているインターネットビジネスについて、大変参考になる講演をされたので二月号、3月号の2回に分けて、その時の講演の模様を掲載させていただく。
組織が解散してもこのような繋がりを持つことは、大事なことである。
ドッグイヤーから
セミイヤーの時代
私は現在、楽天、アマゾン、ビッターズの三つでネットショップを運営しています。ヤフーは使い勝手の問題もありまして、まだ出していません(2009年12月オープン)。楽天市場に出店したのは200年7月です。08年にアマゾンに、昨年はビッターズに出店しました。
売上構成は、だいたい楽天が80%、アマゾンが15%、ビッターズが残りの5%です。実店舗は5店あって、それにネット販売をプラスして年商は6~7億円です。ネットだけの売り上げは月に2000万円くらいです。ほかにもっと売れているところがたくさんあるとは思いますが、うちはまだこのあたりです。
インターネットの現状もかなり変わってきました。私が楽天に出店した当時は、出店料は月に5万円だけという条件でどんどん募集をかけていました。その後、ポイント、アフィリエイト、メルマガなどのシステムがどんどん加わってきました。アフィリエイトとは他のサイトにリンクを張り、閲覧者が商品などを購入した場合、リンク元サイトに報酬を支払う広告手法のことです。
楽天は当時、家賃は5万円でしたが、現在うちが支払っている家賃は約65万円で、ポイント代などを含めると180万円以上になります。楽天に出店した当初は、少ない投資でそれなりの利益がありましたが、現在は売っても、売っても利益が出にくくなって、何となく楽天に儲けさせるために働いているような感じもします。
出店当時は手づくり感の目立つ素人の出店が多く、店舗数も少なかったので、競争はさほどありませんでした。お客さまもまだまだネットショッピングに慣れていなくて、注文して本当に品物が届くのだろうかという感覚でした。ですから、成功すると対前年比売上が200%、300%、500%と、かなり数字が上がったものでした。
当時、よく売れていたのは地方の小さいワイン屋、キムチ屋、米屋などでした。例えば埼玉県の奥のほうにある倉庫みたいなところでやっているワイン屋さんは、当時で月に4000万円くらい売っていました。またパソコンマニアの学生が、お茶のお店を出して大成功したりしました。
楽天ではランキングがあって、月商の多い順にピーチ店長、レモン店長、オレンジ店長と格付けされて、競争心をあおっています。ピーチ店長は月商1億円以上で、30店舗はあるようです。1000万円以上のオレンジ店長も非常に多くなってきました。
実店舗はダメな状況でも、楽天で成功しているところもあります。傘屋ドットコムという傘屋さんは、私が出店したころから有名でした。傘だけを売っているんですが、実店舗がつぶれそうになって、どうしょうもないときにネットに出していたら大成功して、とうとう実店舗は閉めてしまいました。
また、最近では大手企業がどんどん出店しています。昔、大手は自社ブランドに自信を持っていて、ほとんど出店していませんでした。また、出店しても担当者まかせで、良いサイトとは言えませんでした。しかし今は、百貨店やスーパーもネット展開をしています。
特に大手は広告にものすごくお金をかけています。メディア戦略も活発で、例えば香里奈さんが主演している『リアルクローズ』のドラマを見て、ヒロインが身に着けている服やバッグが欲しくなったらすぐにインターネットで買えるなんてことをやっています。
楽天市場は2009年10月に3万店を超え、ここ数年で10万店を目標にしています。10万店の中から自分の店を選んでもらい、さらに買ってもらうわけですから、儲かるかどうかを考えると、これはかなり厳しい状況にあるということです。
売上減になっている店も多く、出退店の回転が速くなっています。楽天自体は1997年にオープンしていますが、そのときから出店している店は極めて少ないと思います。売上増になって課金されるのがいやで出て行った店もありますが、売り上げが減って撤退した店もかなりあります。
皆さん、「ドッグイヤー」ってご存じですか。犬は人間の7倍のスピードで成長することからIT業界の技術進化に例えられています。しかし今は、1週間で命が終わるセミに例えて「セミイヤー」と言ってもいいほど移り変わりが速くなっています。
勝つためには中途半端な
気持ちではダメ!
皆さんの中には、ネットショップは大変そうだし、実際にそんなに儲かるものなのかと思っている方もいらっしゃると思います。確かに非常に厳しい部分もありますが、伸びているところは伸びています。
去年、楽天の会員数は3800万人で、今は4000万人を超えていると思います。実際にはメールアドレスを2、3個持っている人もいますから、実数はこれより少ないかもしれません。
楽天全体の売り上げは7200億円で、実店舗で言えば伊勢丹と同じくらいです。2010年には売り上げ1兆円、インターネットで33%のシェアを目標にしています。でも、伸び率はちょっと下がってきていますね。今、不況で百貨店の数字が落ちていますが、それがネットにも移ってきているのだと思います。
最近、中国で商売しませんかというような営業の電話がよくかかってきます。私は実店舗でイオンに出店していますが、中国人が団体で買い物に来ています。今、中国人はものすごくお金を持っています。昔は日本と同じ値段では売れないんじゃないかという感覚もありましたが、実際にはものすごく売り上げがあるようです。ネットショップでも中国、インド、ブラジル向けに日本の小さい田舎にあるお店が出店しています。まだまだやれることはたくさんあるということです。
大企業でネットショップを実際にやるのは事業部長などではなくて、その下の担当者なんです。その担当者もまだまだよく分かっていない部分がたくさんあって、大手のサイトを見てみると写真があまり載ってなくて商品が分かりづらいってことがよくあります。大手通販会社のサイトでも写真は1~2個で、あとは大きさなどの説明だけなんです。楽天でよく売れているサイトを見ると、その商品をいろんな角度から写真に撮って載せています。そういうノウハウに大手はまだ気づいてないのか、気づいていてもできないのか、それは分かりませんが...。
インターネットでは資本の大小に関わらず、いくらでもページに商品を載せられるわけで、1ページという同じ土俵で戦えます。もちろん商品数、在庫量、広告など資本力による差がありますが、実店舗での競争に比べたら、かなり平等に戦えます。つまりチャンスはまだまだあるということです。
今は同じネット市場内に、同じ店舗を2つ、3つ出しているところが多いようです。それはまったく同じ商品を複数の店で売ることで、より引っかかりやすくしているんです。三万店のなかに埋もれないためには、どんどん商品を出さないとダメで、そのために複数出店するということです。
昨年九月のファッション部門の売上トップ10の平均月商が7000万円です。売れるところではものすごく売っています。現在、楽天市場全体で三万店が出店していますが、そのうち黒字になっているのは1割の3000店くらいではないかと言われています。残りの27000店は売り上げがあっても利益が出ていません。売れない店は退店し、どんどん入れ替わっているというのが実情です。
ファッション部門への出店は1000店舗ですが、150位くらいで約150万円の売り上げです。では200位、500位、800位はどうなのか、月に20万、30万円ほどしか売ってないということです。
ネットショップの業務はエンドレスです。私も夜中までやっていることがあって非常に大変です。実店舗のように八時で終わって店を閉めるということができなくて、例えばページはいくらでもつくれますから、いつまででもやってしまうんです。
そもそも、なぜネットショップをやりたいのでしょう。「小さい店なので実店舗の販売だけでは売り上げに限界がある」「実店舗のほうは大型店進出で厳しくなっている」というような理由が挙げられると思います。「とりあえず、あまりお金をかけずにやってみよう」「自分は分からないから部下に任せてみよう」「知り合いに外注してみよう」というようなことで、ネットショップを始めて挫折した人は山ほどいます。
やはり、中途半端な気持ちではダメですね。実店舗では、まず内装にお金をかけますよね。それから商品を入れて、働く人を雇い、広告を出すというように投資を積極的に行います。ところがネットの場合、皆さんなぜかあまりお金をかけたがりません。在庫は実店舗と共通でいいんじゃないか。人もとりあえず一人か二人に任せようというパターンが多いようです。そういうところはなかなかうまくいきません。
うちも最初は「あまりお金をかけたくない」「商品も共通でやりたい」と思っていましたが、それではなかなか厳しくて、仕方なく広告宣伝費にかなりお金をかけました。それでも最初のころ赤字が二〇〇〇万円くらいになり、これはまずいな、ネットショップはもうやめたほうがいいんじゃないかと思ったりもしました。
本当に、中途半端な気持ちではネットショップは絶対にできません。毎日ずっとパソコンに向かっているくらいの気持ちで、残業は夜中の二時、三時までやる覚悟がないと利益は出せません。今、月商一億の店では夜中の二時、三時まで働くのは当たり前になっています。
しかし、そこまでやらないとダメなのだろうかと思いますよね。実際、ラクにできる方法はないこともないんですが、それはご自分でやってみて見つけていただくしかないと思います。
人任せではダメ!
そして夢を持とう!
ネットショップを自動販売機のように考えてらっしゃる方もいますが、実はネットショップは実店舗よりも接客力、サービスを必要としています。
一番大事なのは、経営者がパソコンに詳しくなることです。部下任せにするのではなく、自分自身がほとんどすべてできなければダメです。もちろん、細かくやっていくと難しくなりますし、そこまでの勉強はちょっとできないってこともあると思いますが、せめて主要なネット用語くらいは知っていないとダメですね。
売れているお店の経営者でパソコンに詳しくない人はまずいません。どんな店が売れているのか、どういう内容でどんな売り方をしているのか、何が違うのか、経営者自らがパソコンを操作して、それこそ1日中パソコンに向かっているというくらいじゃないと、売れるショップにはなりません。また、実店舗に立ちながらネットショップに取り組むというのも厳しいです。
ネットの情報を得るためには、とにかくサイトを満遍なく見ることです。例えアダルトサイトであっても、画像のデザインや動画の使い方など勉強になります。もし担当者に任せるにしても、画像処理ソフトがある程度は使えて、どのようにつくるのか、それにはどのくらいの時間がかかるのかが分かってないと、担当者に指示が出せませんよね。ネットショップを始めるまで、私はパソコンの電源の入れ方さえ知りませんでした。そこから始めて、今では皆さんよりはできるようになっていると思います。
皆さん、実際にネットショップで買い物をされたことはありますか。自分でネットショッピングをしてみることも大切です。例えばバッグを買うとき、検索では「バッグ」と入力するのか、それともブランド名を入れるのか、店のサイトに入ったらどこを見るのか、どんな写真が目を引くのかなど、実際にやってみて分かることはたくさんあります。気になったサイトをお気に入りに溜めていくことでノウハウも蓄積されます。
ご自分が理解したところで、さらに右腕となる専任者は絶対にいたほうがいいです。給料が必要ですが、制作に詳しいスタッフがいないと説得力のあるページはつくれません。そして将来に向けての夢も大切です。月に500万円は売ろう、1000万円は売ろうと夢を語ることも非常に大事だと楽天でも言われています。
目標とするお店に
少しでも近づけていく
まず、こんなネットショップにしたいという目標を1つ決めることがいいと思います。自分の好きなショップってありますよね。一つでなくてもいいんです。そして、そのショップのようになるためにはどうしたらいいのか、自分の店と比べて何が違うのかを考えて、それこそ毎日、クイズを解くように、遊びながらやっていってください。
ギターが上手くなりたくて、有名なギタリストのテクニックをコピーしたりしますよね。それと同じように、サイトのデザインを真似てみるんです。実際にはソースをパクるんですが、もちろん著作権がありますから、パクってそのままアップするのではなくて、パクって練習をします。どうやっているのかが分かってきたら、オリジナルで応用します。
それをやっていると、だんだん見栄えがよくなっていきます。自分1人の頭の中だけでは限界がありますので、既存のショップを真似ることも大事なことです。
そして、最初はちょっと見てくれにお金をかけたほうがいいですね。まったくお金をかけずに出店しても、なかなかうまくはいきません。
外注でもいいと思います。良いサイトをつくってくれるところはたくさんあります。トップページで5~7万くらい、商品ページでは1ページ1万円以下で作ってくれるところもあります。
昔、ネットショッピングのリピート率は高いと言われていましたが、それは変わってきています。クリックするだけでいくらでもほかのショップに飛べますからね。ですから、見てくれは非常に大事です。気をつけてほしいのは、サイトの制作会社には"アタリ、ハズレ"があることです。見てくれだけのことで、売れようが売れまいが制作会社に責任はありませんからね。
うちのトップページも外注ですが、200万円かけました。その前のデザインには100万円かけました。これって高いと思いますか? でも、リアル店舗の内装には500万、600万円もかけますよね。リアルでないモノにお金をかけるのは、かなり抵抗感があると思いますが、かけるべきところにはお金をかけるべきです。
東京ビッグサイトでインターネットの展示会があったとき、ウェブ制作会社の話を聞きました。それによると、今、大手は2000万、3000万円かけてHPをつくっているそうです。ユニクロのサイトは、トップページだけで1500万円くらいだということでした。
具体的なページのエッセンスとしては、一目で何屋さんなのかが分かることが大事です。実際、何屋なのか分からないお店もたくさんあります。あれも売っている、これも売っているって感じで、モノだけいっぱい載せても数字はなかなか上がってきません。やはり、パッと見て何屋か分かる店ですね。つまり、専門店がいいということです。
次に、会社概要や支払い方法などが明確に分かることも大事です。店長やスタッフの顔写真の載っている店は安心感がありますので、必ず入れたほうがいいと思います。
画像系の話ですが、これはカメラによる違いが大きいです。画素数が同じならどんなデジカメでもいいんじゃないかって、私も最初は考えていましたが、一眼レフで25万円くらいするカメラで撮った写真と、6、7万円のデジカメで撮った写真では、まったく仕上がりが違います。カメラは高いものを使ったほうがいいと思います。
商品ページのデザインですが、どういうものなのか分からない商品もあります。そういうものは1カットだけでなく、最低でも8~15カットくらいは載せないと買ってもらえません。バッグなら正面だけでなく、横、下、中も写して、どういうものなのか見せないとお客はすぐにほかの店に行ってしまいます。
コンサルティング会社は話だけの指導でお金をとるわけで、売上までは責任をとってくれません。すべてとは言いませんが、中には無責任なコンサルもいます。コンサルもピンからキリまであって、電話でコンサルティングするだけで200万円というようなコンサル会社も横行していますから、皆さん引っ掛からないように気を付けてください。
*
それでは、次号で後編をお送りします。
![]()

