機関誌『専門店』ハイライト

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店 人 いま 241

仙台駅から365歩

アフターサービスに重点を置き
お客さまの話をしっかり聞き不安を解消

三原廣太郎 氏  三原堂(仙台会)   聞き手 ひらまつたかお

02mise-01.JPG緑豊かな杜の都・仙台は「住んでみたい街」「住みやすい街」として評価が高い都市だ。
100万人の人口を擁し、名実ともに東北地方の政治、経済、学術、文化の中枢として発展してきた。


こうしたことから仙台には、企業の支社や支店が集積しており、いわゆる「支店経済」を基盤として栄えてきた。最近は、このような外部依存型の産業構造を転換し、地元中小企業の活性化を図ったり、東北大学などの知的資源を生かしたりすることで、自立した経済を実現していこうという動きが出てきている。


今回取材した三原堂は、仙台駅に近い(徒歩365歩)クリスロード商店街で、3代にわたって店舗を構える老舗の時計・宝飾店。近隣店にはない豊富な品揃えと、徹底したアフターサービスで、お客さまの心をつかんでいる。

メーカー勤務を経て
家業の時計・宝飾店を継ぐ

●創業されて、どれくらいですか?

02mise-02.JPG三原 祖父が昭和7年に、ここ仙台で創業しました。父が跡を継ぎ、今は私が社長をしています。今年で創業七八年目です。

●学校を卒業されてすぐに、家業を継いだのですか?

三原 卒業後は、時計メーカーに就職し、東京で会社員生活を送っていました。メーカーでは、入社直後は営業を行い、その後、希望してデパートへの出向も経験しました。また、別の時計メーカーの宝飾の卸部門で2年半、商品管理を担当しました。時計部門と宝飾部門を合わせて5年半の会社員生活でした。そして仙台に戻り、専務として家業の三原堂に入社しました。

●家業において、メーカーでの勤務経験は生きましたか?

三原 メーカーの中の仕組みを知ることは、家業に就くようになってからとても役立っています。

●三原堂さんで扱っている商品アイテムは、時計と宝飾ですか?

三原 創業当初は、時計だけでしたが、あとから宝飾も扱うようになりました。今は時計と宝飾、両方ともメインで取り扱っています。

●価格帯的には、どんな品揃えですか?

三原 時計は、手ごろな価格の国産時計から、オメガやロレックスなど、海外ブランドの高級時計まで幅広く揃えています。宝飾のほうも、100万円ほどの商品から1000円、2000円の商品まで、多彩な品揃えです。お客さまのさまざまなニーズに対応できるよう、価格的にもバリエーションを豊富にしていますが、こうした方針は、昔から変わっていません。

 

修理スタッフが常駐
アフターサービス力で勝負

02mise-A.JPG●店舗の外から、時計の修理コーナーの様子が見えますね。

三原 当店では時計の修理(アフターサービス)に力を入れています。単に商品を販売するだけではなく、販売後もしっかりお客さまをフォローできるよう、社員の意識を高めています。

修理コーナーは、平成16年に店舗を新装オープンした際、目玉の一つとして新設しました。修理の様子を外からお客さまに見てもらうことで、アフターサービスにも力を入れていることが伝わっていると思います。現在、時計の修理スタッフは3名います。

●修理スタッフが3名もいるのですか! アフターサービスに力を入れるのは大事なことですが、3名もいると、会社として負担になる面があるのではないですか?

三原 会社としての負担よりも、お客さまへのアフターサービス体制を整えるほうが重要だと考えています。3名いるのは、修理スタッフが常に店頭にいるようにするためです。修理スタッフが休みの日もありますし、食事や所用などで席を外す場合もあります。修理スタッフの不在を防ぐためには、3名が必要なのです。

●本当にアフターサービスに力を入れていることが、よく分かります。

02mise-03.JPG三原 安心してご購入いただくためには、アフターサービスは非常に重要です。当店では他店で購入された時計も修理いたします。お客さまは大事な時計を修理に出すのですから、あまりにも小さい店だったり、知名度が低かったりすると、不安に感じることもあると思います。その点、当店は地元で長く営業していますし、信頼も一定程度はあると思っていますので、お客さまは安心して修理を依頼できる面があるのではないでしょうか。

●宝飾は、どんな品揃えですか?

三原 今は、パールとダイヤが主流です。昔は、ご両親から当店のことを勧められてご購入いただく若いお客さまが多かったのですが、最近はほとんどいません。今の若いお客さまは、お店の歴史を昔ほど気にしないのかもしれません。
もう一つの新しい動きとしては、古いジュエリーをリフォームするお客さまが多いですね。たとえば、昔、ご主人からいただいた古いデザインの婚約指輪を、今風のペンダントにリフォームして楽しんでいる女性のお客さまが増えています。

 

人気の時計を一堂に
比較検討できる強み

02mise-04.JPG●販売単価は、どれくらいですか?

 

三原 ここ最近、単価は下がってきています。時計の場合、以前は高給腕時計といえば50万~100万円程度でしたが、最近は20万~50万円です。ただ、ロレックスだけは堅調ですね。また、手ごろな価格の国産時計も、販売数が増えています。

 

●他県から来店されるお客さまも、たくさんいるようですね。

三原 当店は、ロレックス、オメガ、ブライトリング、タグホイヤーといった、若い男性に人気の海外ブランド時計が、ひととおり揃っています。1つの店で、人気ブランドの時計をいっぺんに比較できるのは、お客さまにとって魅力だと思います。
ですから、在庫本数も豊富に揃えるようにしています。ロレックスは、常時70本ほど置いています。他店の場合、10~20本くらいが多いのではないでしょうか。

●何種類ものブランド時計を比較できるのは強みですね。

三原 デパートも、複数のブランドアイテムを扱っていますが、男性の場合、デパートの時計売場へは行きにくいようです。そこが女性とは違うところです。男性のお客さまは、当店のような専門店のほうが入りやすい傾向にあります。また、デパートでは信販系ローンが使いにくい場合があるのですが、当店ではローンの使い勝手もいいので、それが買いやすさにつながっています。

 

お客さまの話を聞くことが
接客では重要

02mise-05.JPG●海外のブランド時計は高額です。接客も、高額商品にふさわしいスキルが求められるのではないですか?


三原 社員は10名ほどいますが、お客さまへのアプローチの仕方は、一人ひとり異なります。マニュアル的に画一化しては逆効果ですから、個々人のふさわしいやり方を伸ばすようにしています。常連のお客さまの中には、決まった社員からしかお買いにならない人もいらっしゃいます。良い悪いではなく、お客さまと社員との相性という問題もありますから。

社員の質を上げていくために、メーカー主催のセミナーや、関係団体が行う研究会などには、積極的に参加するようにしています。会社の中にいるだけですと、店での接客サービスや業務に対する問題意識が低くなってしまい、結果として、顧客満足度をアップさせることが難しくなってしまいます。

●特に時計の場合、製品のうんちくが分かる店員から買いたいという、お客さまの心理もあると思いますが...。

 

三原 量販店やデパートと、当店との違いは、アフターサービスの充実度とともに、商品に対する丁寧な説明ができていることもあります。
デパートなどでは、人員の配置転換も多いですし、接客以外にもいろいろな仕事をこなさなければなりませんから、詳しい商品知識を持っていない人も中にはいるでしょう。派遣されてデパートに来ているスタッフは、自分が扱っているブランドの製品については詳しいけれど、他社の製品は詳しくないことが多いと思います。

私は、社員には専門店員として、詳しい商品知識を持つよう、常に求めています。新商品が次々と市場に現れ、技術の進歩も速いので大変ですが、詳しい商品知識を持つことは、専門店スタッフとして当たり前のことです。

 

●常に努力を続けていかないと、時代からも、お客さまからも置いていかれるということですね。

三原 接客においては、お客さまの話を聞くことも重要です。雑誌やネットなどを見て、私たちも驚くような、とても詳細な商品情報を持っているお客さまもいます。そうした人たちの中には、自分が知っている商品知識を話したいという人もいます。私たちは、お客さまが話をする「聞く時間」という姿勢もしっかり持つようにしています。そうすることが、不安を解消して満足してご購入いただくことにつながると考えています。

 

今後の課題は
広告効果を把握したい

02mise-08.JPG●広告はどのように展開しているのですか?

三原 「ロレックスフェア」などのイベントに合わせて、新聞広告やテレビCMを展開しています。新聞折込チラシは、対象エリアが広く、効果を出すにはコストがかかるので、行っていません。
課題としては、広告効果が十分に把握できていないことです。

●広告効果については、測定方法を設定することで、ある程度解決します。例えば、紙媒体に出稿した広告から、ネットへ誘導させるようなコミュニケーション設計を行うのです。そして何人が紙媒体からネットに来たか測定できるようにしておけば、広告効果を計ることができます。

三原 それはよさそうですね。次のフェアでは、検討してみたいと思います。

●販促でいえば、ネットを使ったキャンペーンを展開するのも、効果的な方法です。サイト画面をプリントアウトして店頭に持ってくれば、プレゼントを差し上げるという方法です。

 

アフターサービスを最優先
新規出店は行わない

02mise-09.JPG●今のところは一店舗ですが、今後、店舗を増やす計画はおありですか。

三原 今のところ新店舗を出すつもりはありません。といいますのも、新店舗にも3名の技術者を置かないと、お客さまへのしっかりとしたアフターサービスはできないと考えているからです。店舗ごとに3名の技術者を置くことは現状では無理ですので、当面は、今の1店舗体制で、頑張っていきます。

●今の店舗は、立地的に恵まれていますね。

三原 確かに、当店は仙台でもっとも人通りの多い商店街に面しています。「駅から365歩」というキャッチフレーズどおり、仙台駅からも近く、恵まれた場所にあると思っています。
でも、歩いて10分以内には、インショップを含めれば20店舗以上の時計・宝飾店があり、経営環境は厳しさを増しています。

人通りの多い商店街に面していても、商圏エリアで考えれば、当店を知らないお客さまはたくさんいらっしゃいます。
今後も、時代のニーズに合わせながら、時計と宝飾の両方に注力し、専門店経営を頑張っていきます。

●本日はお忙しいところ、誠にありがとうございました。